日曜日, 5月 19, 2024
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Azure AI Search とは?料金や機能、活用方法を解説

Azure AI Search は、 Microsoft Azure (以下、 Azure )におけるクラウドサービスの 1 つです。既存のアプリケーションに追加すれば、高度な検索機能を追加できます。

近年、企業では DX (デジタルトランスフォーメーション)が進み、社内で大量のデータを扱うようになりました。増え続けるデータから目的の情報を効率的に見つけ出すために、 AI を活用した検索サービスが注目を集めています。

本記事では、 Azure AI Search の機能や料金、活用方法について解説します。

Azure AI Search とは

Azure AI Search は、 Microsoft の提供するクラウド型検索プラットフォームです。大量のデータを取り込んでインデックス化し、ユーザーの求める検索結果を表示します。

Azure 上にあるドキュメントやデータベース、電子メールや PDF といった多様な形式のデータから、必要な情報を取り出すことが可能です。また、ソースコードの記述が不要で高度な検索機能を利用できるため、プログラミングなどの専門知識がなくても気軽に取り入れられます。

Azure AI Search は、これまで「 Azure Cognitive Search 」の名前でサービスが提供されていました。 2023 年 11 月に「 Azure AI Search 」へ名称が変更されましたが、機能や料金体系に変更はありません。

Azure AI Search の機能

さまざまな業界で業務の効率化やサービス向上のために AI が導入されるようになりました。膨大で多様なデータを扱える Azure AI Search の高い検索機能も、多くの場面で活用できます。

ここでは、 Azure AI Search の主な機能について紹介します。

ノーコードでのデータ自動取り込み

Azure AI Search は、ノーコードで直感的・視覚的にデータを取り込むことが可能です。

企業が持つ大量の構造化データ、あるいは非構造化データをクラウド上に保存しておけば、 Azure AI Search のインデクサーにより自動でインデックス化されて取り込まれます。

Azure AI Search で扱えるデータには、 Microsoft Word ・ PowerPoint ・ Excel ・ PDF ・ PNG ・ HTML ・ JSON などがあり、ビジネスで一般的に使われる種類のデータに対応しているため導入しやすいことも特徴です。

AI の専門知識のある開発者でなくても、容易に必要なデータを取り込んで検索機能を活用できます。

豊富かつ精度の高い検索ソリューション

Azure AI Search では、キーワード検索(既存の全文検索方法)・ベクトル検索(データを数値ベクトルとして表し、ベクトル間の類似度を計算する方法)を利用できます。

また、この2つの検索機能を利用したハイブリッド検索もサポートされています。ハイブリッド検索では、キーワード検索とベクトル検索による結果をリランキングすることにより、精度の高い検索結果を得られることが特徴です。

このほかにも、あいまい検索やセマンティック検索機能などにより、精度が高く柔軟な検索を可能にしています。

関連性の高い結果の表示

Azure AI Search では、 Microsoft Research や Bing で培ったディープラーニングモデルを使用したセマンティック検索が利用できます。

セマンティック検索は、単純にキーワードの一致で検索するのではなく、ユーザーの意図やクエリの意味や内容を理解して検索する機能です。

AI の進化により、大量のデータへ自然言語処理や機械学習技術が活用され、文脈や意味を学習できるようになりました。その結果、ユーザーの意図への関連性が高い情報を検索結果に表示できるようになっています。

検索機能のカスタマイズ

Azure AI Search では、ユーザーの求める要件を満たすために検索機能の調整も可能です。キーフレーズ抽出、言語検出、 OCR 、画像分析、翻訳などのさまざまなカスタマイズが用意されています。

また、 Azure OpenAI Service など Azure のほかのサービスと組み合わせることで、より包括的にデータ処理や分析を行えるようになります。

次世代アプリの作成

Azure AI Search と Azure OpenAI Service を組み合わせれば、 AI 機能による次世代アプリの作成が可能です。

Azure OpenAI Service は、 Open AI の言語モデルをアプリケーションに組み込むことのできるサービスです。たとえば、 Azure OpenAI Service で開発したチャットボットにユーザーが質問すると、 Azure AI Search のインデックスに登録したドキュメントから検索された回答を得ることができます。

このようなアプリ作成は、カスタマーサポートの効率化や社内文書の検索、プロジェクトの管理など情報管理や知識の共有を促進するために役立つでしょう。

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Azure AI Search の活用方法

Azure AI Search のさまざまな機能を活用すれば、社内業務の効率化や提供するサービスの ユーザーエクスペリエンスを高めることも可能です。

ここでは、 Azure AI Search が一般的にどのように活用されているのかを紹介します。

社内コンテンツの管理

Azure AI Search を活用すると、社内に蓄積された膨大なデータのなかから素早く目的の情報を取り出すことができます。

メールや PDF 、 Word 、 PowerPoint など、さまざまな形式で保存された社内の過去の資料や情報をクラウドに保存し、高い精度で検索できるシステムを構築します。これによりファイルの管理や検索に掛かる時間を軽減でき、業務の効率化や生産性の向上が期待できることがメリットです。

トレンド分析

Azure AI Search の高精度なデータマイニングによって分析された結果は、トレンド分析に活用できます。

Azure AI Search では売上データや商品情報など企業の運営に関する大量のデータを取り込むことが可能です。取り込んだデータから指定した情報を抽出することで、特定のパターンや傾向を把握できます。

これらの結果は、適切な在庫管理やマーケティング戦略の立案に活用できます。

EC サイト・Web サイトの検索

EC サイトや Web サイトに Azure AI Search を活用すれば、訪問者が求める商品やサービスを迅速に見つけ出すことができるため、ユーザーエクスペリエンスの向上につながります。

顧客ごとに購入履歴や行動を分析して、パーソナライズされたおすすめ商品を提案することも可能です。また Web サイトの検索パフォーマンスを監視して改善を重ねることで、コンバージョン率を増加させるといった使い方もできるでしょう。

Azure AI Search の料金

Azure AI Search は、ストレージ容量や作成できるインデックス数により、次の料金プランが用意されています。

プラン Free  Basic  Standard S 1 Standard S 2 Standard S 3 Storage Optimized L 1 Storage Optimized L 2
ストレージ 50 MB  2 GB  25 GB  100 GB  200 GB  1 TB  2 TB 
サービスあたりの最大インデックス数 3 15 50 200 200/1000 10 10
サービスあたりの最大ユニット数 該当なし 3 36 36 36 36 36
SU あたりの価格 ¥0/ 月 ¥14,604.77/ 月 ¥48,755.76/ 月 ¥194,803.39/ 月 ¥390,046.02/ 月 ¥421,561.56/ 月 ¥843,013.30/ 月

参照元: Azure AI Search の価格| Microsoft Azure

※東日本リージョンの価格( 2024 年 3 月現在)

※実際の価格は、為替レートによって異なります。

ここでは、それぞれのプランについて解説します。

Free プラン

利用可能ストレージが 50MB まで、サービスあたりの最大インデックス数は 3 までと、制限付きのプランです。

フリープランを利用すれば、 AI 検索機能を手軽に試せます。デモアプリもノーコードで作成できるので 、 Azure AI Search を試しに使ってみたい方や、小規模プロジェクトでの利用に最適です。

Basic プラン

Basic プランでは、 2GB のストレージとサービスあたり最大 15 インデックスの利用が可能です。

セキュリティを強化するために、暗号化キーの作成やファイアウォールを使用するには、この Basic プラン以上が望ましいです。また、ドキュメントの読解や画像の抽出は画像の容量によって価格が異なるため注意しましょう。

Standard プラン

Standard プランには、ストレージ容量やインデックス数の異なる S1 から S3 までの 3 種類のプランがあります。

画像データなど大容量のデータを保管する場合や、大規模なインデックス作成やクエリの負荷が大きい環境では、 Standard プランの S2 または S3 レベルが必要です。

Storage Optimized プラン

Storage Optimized プランは、大規模なインデックス作成に向いています。

サービスあたりの最大インデックス数は 10 に制限されていますが、 L1 プランで 1TB 、 L2 プランで 2TB の大容量を低価格で利用できることがメリットです。一方で検索の待ち時間が長くなる傾向があるため、アプリケーションの要件に適しているかを判断する必要があります。

Azure AI Search で利用するデータがテラバイトに及ぶ場合は、 L1 または L2 プランがおすすめです。

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Azure AI Search は新たな価値を生み出す情報検索プラットフォーム

本記事では、 Azure AI Search の機能や活用方法、料金について紹介しました。

埋もれてしまいがちな社内の資料や情報を活用するために、 Azure AI Search の検索機能を取り入れれば、業務の効率化だけでなく提供するサービスの品質向上にもつなげられます。 AI や開発の専門知識がない場合でも、直感的に AI 検索を構築・利用できる点が Azure AI Search のメリットです。

Azure AI Search に興味がある場合は、まずは無料で利用できる Free プランで使用感を試してから、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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