次期バージョン SharePoint Server 2016。どんな機能強化や新機能の追加があるのでしょうか?インストール要件のアップデイトは?これまで Microsoft 社が公開した SharePoint 2016 に関する情報を収集・整理した上で、弊社プリセールスチームから SharePoint Server 2016 のまとめとして、このブログを通じて皆様にお届けしていきます。
今回の記事では、インフラストラクチャーに関しての最新情報をご紹介します。
目次
インストール要件について
展開シナリオ
アップグレードと移行
ソフトウェアの境界と制限
ファーム構成 (MinRole)
より迅速なサイト作成が可能に
<インストール要件について>
1. ハードウェア要件
まず、SharePoint 2013 の要件と基本的には同じで、以下の要件を満たしている必要があります。
- ディスク容量 80 GB
- プロセッサ 4 コア
- ファームサーバー用の RAM 12 ~ 16 ギガバイト
- 単一サーバー用の RAM 最大 24 ギガバイト
詳細については以下のハードウェア要件比較表をご参考ください。
SharePoint 2013 ハードウェア要件
インストールシナリオ | 展開の種類と規模 | RAM | プロセッサ | ハードディスク領域 |
組み込みデータベースを使用する単一サーバーまたは SQL Server を使用する単一サーバー | 開発環境向けの最小推奨サービスを備えた SharePoint Server 2013 または SharePoint Foundation 2013 の開発または評価インストール。 | 8 GB | 64 ビット、4 コア | システムドライブに 80 GB |
組み込みデータベースを使用する単一サーバーまたは SQL Server を使用する単一サーバー | Visual Studio 2012 および開発環境向けの最小推奨サービスを実行する SharePoint Server 2013 または SharePoint Foundation 2013 の開発または評価インストール。 | 10 GB | 64 ビット、4 コア | システムドライブに 80 GB |
組み込みデータベースを使用する単一サーバーまたは SQL Server を使用する単一サーバー | 使用可能なすべてのサービスを実行する SharePoint Server 2013 の開発または評価インストール。 | 24 GB | 64 ビット、4 コア | システムドライブに 80 GB |
3 層ファームの Web サーバーまたはアプリケーションサーバー | SharePoint Server 2013 または SharePoint Foundation 2013 のパイロット、ユーザー受け入れテスト、および運用展開。 | 12 GB | 64 ビット、4 コア | システムドライブに 80 GB |
SharePoint 2016 ハードウェア要件
インストールシナリオ | 展開の種類と規模 | RAM | プロセッサ | ハードディスク領域 |
SQL Server | 開発環境向けの最小推奨サービスを備えた SharePoint Serverまたは評価インストール。 | 12-16 GB | 64bit, 4コア | システムドライブに 80 GBセカンドドライブ100 GB |
SQL Server を使用する単一サーバー | パイロット、ユーザー受け入れテスト、使用可能なすべてのサービスを実行する | 16-24 GB | 64bit, 4コア | システムドライブに 80 GBセカンドドライブ100 GB |
Webサーバーまたはアプリケーションサーバー (3層構成) | 開発環境向けの最小推奨サービスを備えた SharePoint Server または評価インストール | 8-12 GB | 64bit, 4コア | システムドライブに 80 GBセカンドドライブ80 GB |
Webサーバーまたはアプリケーションサーバー (3層構成) | パイロット、ユーザー受け入れテスト、使用可能なすべてのサービスを実行する | 12-16 GB | 64bit, 4コア | システムドライブに 80 GBセカンドドライブ80 GB |
2. ソフトウェア要件
OS 要件
Windows Server 2012 R2 と Windows Server Technical Preview
.NET Framework要件
Windows Server 2012 R2 の場合→.NET Framework 4.5.2
Windows Server Technical Preview の場合→ .NET Framework 4.6 Preview
従来とあまり変わらず、必須コンポーネント インストーラー (prerequisiteinstaller.exe)を利用して、必要な役割を有効化し、以下のソフトウェアをインストールします。
Web サーバー (IIS) の役割
アプリケーション サーバーの役割
- Microsoft SQL Server 2012 Native Client
- Microsoft ODBC Driver 11 for SQL Server
- Microsoft Sync Framework Runtime v1.0 SP1 (x64)
- Windows Server AppFabric 1.1
- Cumulative Update Package 1 for Microsoft AppFabric 1.1 for Windows Server (KB2671763)
- Microsoft Identity Extensions
- Microsoft Information Protection and Control Client
- Microsoft WCF Data Services 5.0
- Microsoft WCF Data Services 5.6
- Microsoft .NET Framework 4.5.2
- Update for Microsoft .NET Framework to disable RC4 in Transport Layer Security (KB2898850)
- Visual C++ Redistributable Package for Visual Studio 2013
データベースサーバー要件
基本的には SQL Server 2014 を使用することになりますが、 SQL Server 2016 もサポートする予定です。
※補足—SQL Server Express Edition を使った自動インストールはサポートされなくなります。
<展開シナリオ>
こちらも SharePoint 2013 と同様です。
SharePoint Server 2013 | SharePoint Server 2016 | |
ワークグループ | 非対応 | 非対応 |
DC同居 | 開発インストール | 開発インストール |
クライアント OS | 非対応 | 非対応 |
ダイナミックメモリ | 非対応 | 非対応 |
Windows Web Server | 非対応 | 非対応 |
<アップグレードと移行>
SharePoint Server 2013 からのアップグレードはサポートされています。
SharePoint Server 2013 からアップグレードする場合、データベース アタッチによるアップグレードが行えます。
ちなみに、SharePoint 2010 (14.5) モードのサイト コレクションは、先に 2013 モードにアップグレードしてから SharePoint 2016 にアップグレードする必要があります。コンテンツデータベースとサービス アプリケーションデータベースをコピーして、SharePoint 2016 ファームにアタッチ後、データベースをアップグレードするという手順となります。
移行の観点で、新しいデータ移行用の SharePoint API を定義されるとのことです。ちなみに、弊社では SharePoint の移行製品をご用意していますが、2016 のバージョンへの移行もサポートする予定です。
<ソフトウェアの境界と制限>
SharePoint 2013 と比べて、いくつかの制限が緩和されました。
制限 | 最大値 (SharePoint 2013) | 最大値 (SharePoint2016) |
コンテンツ データベースのサイズ | 200 GB | TB |
コンテンツ データベースごとのサイト コレクション | 最大 10,000 個 (非個人用サイト コレクションが 2,500 個と個人用サイトが 7,500 個、または個人用サイトだけで 10,000 個) | 100,000個 |
リスト ビューのしきい値 | 5,000 | 5,000 以上 |
ファイルのサイズ | 2GB | 10GB |
インデックスの制限 | 200 万個 | 5億 |
<ファーム構成 (MinRole)>
MinRole とは新たに導入されるインフラストラクチャーの概念です。新たに導入される MinRole トポロジーは、インストール時に構成ウィザードで定義されたロールを明確に指定することができます。各サーバーのロールが決まっていることから、キャパシティ プランニングも簡素化され、またパフォーマンスも予測しやすくなるとのことです。
ちなみに、MinRole はあくまでも推奨トポロジーとのことですが、従来通りのトポロジー構成でも構築は可能とのことです。各ロールは、以下の6つに分かれます。
ロール名 | 説明 |
Special Load | 他のサービスから独立する必要のあるサービスのみを起動する。3rd パーティ、PerformancePoint などのサービス用。ちなみに、従来と同様に必要なサービスを起動することも可能。 |
Web Front End | エンドユーザーからの要求を処理する。遅延が短縮できるよう最適化。 |
Single Server Farm | 単一サーバーにすべてのサービスを実行する。開発環境向け、また、評価インストール |
Search | 検索サービス用 |
Application | バックエンドジョブや、バックエンドジョブがトリガーになっている要求を処理する。スループットが高くなるように最適化。 |
Distributed Cache | 分散キャッシュ用。オプションとして、このロールをサーバーに割り当てることで、Web フロントエンド間のエンドユーザーからの要求を負荷分散するようになる。 |
MinRole は、製品構成ウィザード (PSConfig GUI) または、コマンドラインから指定できます。
<より迅速なサイト作成が可能に>
SharePoint 2013 ではサイトを作成する場合に、機能の有効化やサービスのプロビジョニングに一番時間がかかりました。SharePoint 2016 では、SPSite.Copy API をコンテンツデータベースレベルで利用して、サイトを迅速に作成することが可能になりました。
今回は、SharePoint Server 2016 に関するインストール要件、アップグレードと移行、ファーム構成 (MinRole)、迅速なサイト作成をご紹介させていただきました。
SharePoint Server 2016 まとめに関する次回の投稿もご期待ください。
参考
- https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc262485.aspx
- https://adammcewen.wordpress.com/2015/05/17/sharepoint-2016-for-it-pros/
- http://blogs.technet.com/b/wbaer/archive/2015/05/12/what-s-new-in-sharepoint-server-2016-installation-and-deployment.aspx
*備考:Bill Baer (Microsoft) 氏のブログに記載されている SharePoint 2016 ハードウェア要件に関してですが、「Database server running a single SQL instance」 という表現が少しややこしいと思われます。字面どおりに見ると、Database server のハードウェア要件を話しているようです。しかし、当日のビデオの内容と SharePoint 2013 を見ると、ここは 「SQL Server を使用する単一サーバー」 のことであると考えております。
おまけ:SharePoint の導入・活用を進める際に組織が直面しやすい 5 つのお悩みとその対処方法をまとめた「SharePoint サバイバル ガイド」(全 13 ページ) を無料進呈中です。下記のバナーをクリックし、必要事項を記入の上で申し込みフォームを送信していただくと、ダウンロード リンクを含んだメールがお手元に届きます。