こんにちは、AvePoint Japan サポートチームの燕です。
平成が終わり、令和の時代を迎えてきましたね。令和の初ブログを書きましたが、ぜひご参考になっていただければ幸いです。
弊社オンプレミスの DocAve を利用して、SharePoint 各バージョン間に移行を行う際に、移行前後で、共有ドキュメント・ドキュメントライブラリのタイトルや URL が変更されたりする事象がよくあると思われます。それに伴い、移行後でタイトルや URL を保持したいとのご要望がありますでしょうか。
今回の記事では、起こり得る事象を取り上げる形でご紹介していきたいと思います。
まず、SharePoint 自体の仕様では、SharePoint 2007 と SharePoint 2010 で “共有ドキュメント (Shared Documents)” という SharePoint ビルトインのライブラリのタイトルと URL 両方とも [Shared Documents] になります。
SharePoint 2013、SharePoint 2016、SharePoint 2019 および SharePoint Online で “共有ドキュメント” という SharePoint ビルトインのライブラリのタイトルはドキュメント (Documents)、URL が [Shared Documents] になります。
次に DocAve 側では移行結果を影響するプロファイル設定が 2 つあります。移行プロファイルのパラメータを変更することで、異なる移行結果が得られます。
1. isLoadBuildInListTitleMapping:共有ドキュメントからドキュメントにタイトルマッピングするかを制御します。
既定値の [isLoadBuildInListTitleMapping=“True”] である場合、移行元の共有ドキュメント (Shared Documents) が移行先のドキュメント (Shared Documents) へ移行 (マッピング) されます。
[isLoadBuildInListTitleMapping=“False”] に変更する場合、移行元の共有ドキュメント (Shared Documents) が移行先のドキュメント (Shared Documents) へ移行 (マッピング) せず、移行先でタイトルが共有ドキュメントであるライブラリが新規作成されます。
2. listMigrateOption:リストのタイトルか、リストの URL より移行するかを制御します。
既定値の [listMigrateOption=”0″] である場合、リストタイトルを用いて、移行先に同タイトルのリストが存在するかの確認処理を行います。移行先に、同タイトルのリストが存在する場合、移行元の対象リストを、移行先の同タイトルリストへ移行します。
[listMigrateOption=”1″] に変更する場合、リスト URL (相対 URL) を用いて、移行先に同 URL のリストが存在するかの確認処理を行います。移行先に、同 URL のリストが存在する場合、移行元の対象リストを、移行先の同 URL リストへ移行します。
[listMigrateOption=”2″] に変更する場合、リストのタイトルと URL 両方を用いて、移行先に、リストタイトル、リスト URL の順で同タイトル / URL のリストが存在するかの確認処理を行います。
既定値に設定した場合、ライブラリ (リスト) を移行する際に、まず移行元ライブラリのタイトルにより、移行先のライブラリをチェックします。
もし移行先で、同タイトルのライブラリが存在する場合、移行元ライブラリを当該ライブラリに移行する動作となり、URL も移行先の URL を保持します。
もし同タイトルのライブラリが存在しない場合、移行元ライブラリのタイトルと URL により移行先にてライブラリを新規作成し、移行元ライブラリを当該新規作成したライブラリに移行する動作となり、URL も移行元の URL を保持します。
なお、移行先でライブラリを新規作成する際に、URL が既に占用された場合は、SharePoint 側のルールに従って、URL が自動的に生成されます。
では、シナリオとしてそれぞれご説明していきます。
●シナリオ 1
1-1 移行前
移行元 (SP10) |
移行先 (SPO) |
共有ドキュメント (Shared Documents) |
ドキュメント (Shared Documents) |
既定プロファイルでの移行結果
移行元 (SP10) |
移行先 (SPO) |
共有ドキュメント (Shared Documents) |
ドキュメント (Shared Documents) |
上記 1 で説明した通り、製品ロジック既定では、移行元の共有ドキュメント (Shared Documents) が移行先のドキュメント (Shared Documents) へ移行 (マッピング) されます。
タイトルを一致させたい場合、手動で移行先のドキュメントライブラリのタイトルを [ドキュメント] から [共有ドキュメント] に変更してもらいます。
1-2 移行前
移行元 (SP10) |
移行先 (SPO) |
共有ドキュメント (Shared Documents) |
ドキュメント (Shared Documents) 存在せず |
既定プロファイルでの移行結果
移行元 (SP10) |
移行先 (SPO) |
共有ドキュメント (Shared Documents) |
ドキュメント (Shared Documents) |
移行元と同タイトルのライブラリが存在していない、かつ上記 1 既定のマッピングロジックの影響で、移行先にてタイトルがドキュメントで、URL が [Shared Documents] であるライブラリが新規作成します。
タイトルを一致させたい場合、手動で移行先のドキュメントライブラリのタイトルを [ドキュメント] から [共有ドキュメント] に変更してもらいます。
●シナリオ 2
移行元の SharePoint Server 発行インフラストラクチャー (サイトコレクションレベル) とSharePoint 発行機能 (サブサイトレベル) がアクティブ化されている場合、移行元でドキュメント [Documents] も存在している場合があります。
2-1 移行前
移行元 (SP10) |
移行先 (SPO) |
ドキュメント (Documents) |
ドキュメント (Shared Documents) |
共有ドキュメント (Shared Documents) |
既定プロファイルでの移行結果
移行元 (SP10) |
移行先 (SPO) |
ドキュメント (Documents) |
ドキュメント (Shared Documents) |
共有ドキュメント (Shared Documents) |
共有ドキュメント (Shared Documents) とドキュメント (Documents) のデータが両方もとに移行先のドキュメント (Shared Documents) に移行されます。
2-2 移行前
移行元 (SP10) |
移行先 (SPO) |
ドキュメント (Documents) |
ドキュメント (Shared Documents) 存在せず |
共有ドキュメント (Shared Documents) |
既定プロファイルでの移行結果
移行元 (SP10) |
移行先 (SPO) |
ドキュメント (Documents) |
ドキュメント (Documents) |
共有ドキュメント (Shared Documents) |
移行先で移行元と同じタイトルのライブラリが存在していないため、移行先で新規作成します。
ただし、ドキュメント (Documents) が共有ドキュメント (Shared Documents) より先に移行されるため、移行先でドキュメント (Documents) が新規作成します。
それに、共有ドキュメントからドキュメントにタイトルマッピングされるため、共有ドキュメント (Shared Documents) も移行先のドキュメント (Documents) へ移行されます。
その結果、移行元の共有ドキュメント (Shared Documents) とドキュメント (Documents) 両方ともにこのドキュメントライブラリに移行されます。
●シナリオ 3
移行前 (シナリオ 2-1 と同様)
移行プロファイルにある [isLoadBuildInListTitleMapping=”True”] を “False” に変更した場合、以下の移行結果になります。
プロファイル変更後の移行結果
移行元 (SP10) |
移行先 (SPO) |
ドキュメント (Documents) |
ドキュメント (Shared Documents) |
共有ドキュメント (Shared Documents) |
共有ドキュメント (DocLib) |
まず、ドキュメント (Documents) と同じタイトルのライブラリが存在しているため、移行元のドキュメントがそのまま移行先のドキュメント (Shared Documents) へ移行します。
また、既定の共有ドキュメントからドキュメントへのタイトルマッピングが無効化されたので、ライブラリのタイトルを用いて、移行先に同タイトルのライブラリが存在するかを確認します。移行先で共有ドキュメント (Shared Documents) と同じタイトルのライブラリがないため、移行先で新規に作成します。しかし、[URL:Shared Documents] が既に占用されたため、SharePoint 側のルールに従って、[URL:DocLib] が自動的に生成されます。
●シナリオ 4
移行前 (シナリオ 2-2 と同様)
移行プロファイルにある [isLoadBuildInListTitleMapping=”True”] を “False” に変更した場合、以下の移行結果になります。
プロファイル変更後の移行結果
移行元 (SP10) |
移行先 (SPO) |
ドキュメント (Documents) |
ドキュメント (Documents) |
共有ドキュメント (Shared Documents) |
共有ドキュメント (Shared Documents) |
●シナリオ 5
移行前
移行元 (SP10) |
移行先 (SPO) |
ドキュメント (Documents) |
移行元と同じタイトルのライブラリが存在せず、
同じ [URL:Documents] のライブラリが存在する |
共有ドキュメント (Shared Documents) |
既定プロファイルでの移行結果
移行元 (SP10) |
移行先 (SPO) |
ドキュメント (Documents) |
ドキュメント (DocLib) |
共有ドキュメント (Shared Documents) |
上記状況では、移行先にて移行元と同じタイトルのライブラリが存在していないため、移行元ライブラリのタイトルによりライブラリを新規作成します。
ドキュメント (Documents) が共有ドキュメント (Shared Documents) より先に移行されるため、ドキュメントというライブラリが作成します。ただし、移行先にて、[URL:Documents] のリスト/ライブラリが既に存在し、[URL:Documents] が占用されたため、SharePoint 側のルールに従って、[URL:DocLib] が自動的に生成されます。
それに、共有ドキュメントからドキュメントにタイトルマッピングされるため、共有ドキュメント (Shared Documents) も移行先のドキュメント (DocLib) へ移行されます。
●シナリオ 6
移行前 (シナリオ 5と同様)
移行プロファイルにある [listMigrateOption=”0″] というノードの値を “1” に変更した場合、以下の移行結果になります。
プロファイル変更後の移行結果
移行元 (SP10) |
移行先 (SPO) |
ドキュメント (Documents) |
移行先のドキュメントタイトル (URL:Documents) |
共有ドキュメント (Shared Documents) |
ドキュメント (Shared Documents) |
上記変更後のプロファイルで移行ジョブを実行する場合、弊社製品は移行元ライブラリの URL を用いて、移行先に同 URL のライブラリが存在するかをチェックする動作となります。
そのため、ドキュメント (Documents) が移行先の [URL:Documents] であるライブラリに移行され、タイトルは移行先のタイトルを保持します。
共有ドキュメント (Shared Documents) に対して、移行元と同 URL のライブラリが存在していないため、移行先で [URL:Shared Documents] であるライブラリが新規作成します。加えて、共有ドキュメントからドキュメントにタイトルマッピングされる影響で、移行先にてタイトルがドキュメントになります。
また、移行プロファイルの変更手順を以下に説明します。
<プロファイルの変更手順>
1. DocAve マネージャーコンソールを起動し、[移行] > [SharePoint 移行] を開き、リボンメニューの [プロファイルの設定] をクリックします。
2. プランで利用するプロファイルを選択し、リボンメニューより [ダウンロード プロファイル] をクリックして、名前を付けて保存します。
3. 保存したプロファイルをテキストエディターで開いて、プロファイルにある [isLoadBuildInListTitleMapping=”True”] または [listMigrateOption=”0″] の設定値をご要望に応じて変更し、保存します。
4. [移行] > [SharePoint 移行] > [プロファイルの設定] > [アップロード プロファイル] をクリックして、ステップ 3 で変更したプロファイルをアップロードします。
※ 既定プロファイルを選択して設定を変更する場合、名前をつけて別名のプロファイルとして保存することをお勧めします。
5. 移行ジョブでは、変更後のプロファイルを利用してジョブを実行します。
今回の内容は以上となります。最後までご覧いただきましてありがとうございます。
お客様側環境がそれぞれ異なりますが、状況に応じて設定いただければと存じます。
何かご不明点などございましたら、どうぞサポート窓口までお問合せください。
★Microsoft365に関するご相談は、AvePointまでお気軽にお声がけくださいませ。
・データ移行・運用管理・セキュリティ強化など、幅広くソリューションを展開しております。
ソリューション一覧はこちらよりご確認いただけます
・お問い合わせはHPよりお気軽にお声がけくださいませ。
AvePoint Japan 株式会社
・定期的なWEBセミナーも実施しております。無料で見れるオンデマンド配信や、無料eBookのコンテンツも多数ありますのでぜひご参照ください。
AvePoint のオンライン セミナー、eBook 等のコンテンツはこちらから