急激に変わりつつある現代社会の中でも、特に職場における変化は顕著です。新たな手法やツール、手順の変更、働き方の変化。私たちの周りには、学ぶべきことや知識をアップデートするための方法があふれています。ですが、組織の中で従業員は学習にほとんど時間を割けていないのが現状です。Bersin by Deloitte が発表した「Leading in Learning」によると、従業員が新たなスキルの習得に費やしている時間は、1 週間の労働時間のうちわずか 1% に過ぎません。さらに、PwC が実施した 2019 年の世界 CEO 意識調査の中で、CEO の過半数も「従業員にとっての必須スキルが欠如することで、組織の将来的な成長が妨げられる」と懸念しています。この困難な課題を解決するためのソリューションが、Viva ラーニングです。
Microsoft Viva ラーニング自体は、Microsoft Viva に含まれているモジュールのひとつに過ぎません。その目的は、業務の一環として自然な形で学習を取り入れられるようにし、学習文化の醸成を支援することで、学習に関する課題を解決することにあります。Viva ラーニングは学習者に焦点を当てることを重視しており、学習者が簡単に学習機会を見出し、共有できるように支援します。今、学習コンテンツを提供する場は LinkedIn Learning や Microsoft Learn、サードパーティのコンテンツなど多岐に渡ります。Viva ラーニングは、こういった学習コンテンツをワンストップで提供し、学習体験を簡素化するためのソリューションです。特に組織にとって独自の学習コンテンツの作成および配布が非常に簡単になります。
私たちは既に、顧客と共に Microsoft Viva ラーニングについて何度かワークショップを実施しており、学びやすい環境づくりのニーズの大きさを痛感しています。ワークショップの参加者からは、Viva ラーニングの最大の強みについて何度も聞かされています。参加者がとりわけよく挙げるメリットが、Viva ラーニングの使いやすさ、ソーシャル ラーニング機能 (同僚との学習の共有)、学習の割り当てと推奨機能、Microsoft Teams で (とりわけコンテキストに沿った) 学習機会を提示する機能です。Viva ラーニングのメリットはこれだけにとどまりませんが、いずれにせよ、現時点であらゆる組織の CEO、CIO、人事部長にとって大きな注目に値するソリューションであることに疑いの余地はありません。私個人としても、Viva ラーニングが私たちにもたらすメリットの大きさには驚くばかりです。この感覚は、Microsoft Teams がモダンなハイブリッド ワークを実現したときの感動に近いものがあります。実際に、ワークショップで Viva ラーニングは顧客から大きな反響を呼んでおり、Viva のプラットフォームが誇るポテンシャルについて、さらなる確信を得ました。
新入社員やプロジェクトの新メンバーのオンボーディング、新しい仕事場における作業者の教育、従業員へのサイバー セキュリティに関する最新情報の提供といった場面で Microsoft Viva ラーニングを活用することで、必要な学習を割り当てたり、特定の局面 (プロジェクトに必要なスキルや、新しい職場の慣習やルール) のための学習を提供したり、学習の推奨機能により提示したりすることで、学習のニーズに応えることができます。Viva ラーニングにより、学習は個人レベルから組織規模へとスケールアップできます。また、社外のソリューションではなく Teams で簡単に学習に参加できるようになり、ビジネス目標に沿った学習が実現するため、ビジネスでより大きな成果を出せるようになります。
Microsoft Viva ラーニングでは、トレーニングを同僚と簡単に共有できます。学習教材をオープンにすることで、個人はもちろん、チーム全体などのグループにもその教材を簡単に勧めることができます。特に個人向けのメッセージが添えられていれば、それを見た人が反応する可能性は非常に高いでしょう。
また、例えば Teams における会話内で学習内容を共有し、関連する学習を提示することも可能です。こういったケースでは、コンテキストとの関連性が非常に高くなります。必要なときにこのようなアクションを提示することに関しては AI も優秀ですが、やはり未だに人間の方が得意とする分野です。ここで重要なのはシンプルさであり、Viva ラーニングは実に簡単にこれを実現しています。
従業員への学習の割り当てや推奨が行われると、従業員に Microsoft Teams を通じて直接通知が行われます。
また、デスクトップ版の Teams でしか利用できないわけではありません。Viva ラーニングは Teams のモバイル アプリでも学習可能なため、限られた時間の中で働く現場の従業員やハイブリッド ワークの従業員にとっても非常に優秀なツールとなっています。学習のため特にあらかじめ準備する必要もなく、仕事中の隙間時間を見つけて取り組むことができます。企業が自社で学習コンテンツを作成する場合、従業員が学習時間をあまりとれないことがわかっているのであれば、学習に時間のかからない教材を作成して習得時間の短縮を目指しましょう。数時間かかるひとつの教材を用意するのではなく、短時間で終えられる複数の教材に分割するのも有効です。
Microsoft Viva は、ビジョンとして、これらをすべて拡張可能なものとして捉えていると考えられます。また、モジュールとプログラムでやりとりするための API なども登場するでしょう。Viva は比較的新しく、何もかもが揃った製品というわけではありません。ですが、すでに Coursera や edX、Pluralsight 等、複数の学習分野のパートナー企業が Microsoft Viva と統合し、学習コンテンツを提供しています。
個人的には Microsoft Viva ラーニングはやがて LMS になると予想しています。また、学習分野の様々なパートナー企業とさらに統合が進み、単なる学習コンテンツだけではなく様々なソースの教材を提示するなど、学習者が学ぶ道筋を照らし、サポートするサービスになるのではないでしょうか。さらには Microsoft Forms といった他のツールを統合することで、学習プロセスの一環として学習者の知識を確認できるようになったり、ナレッジ マネージメントを通じて公式のトレーニングの一環として学習の道筋の計画、割り当て、報告ができるようになったりする可能性すらあります。以上が私の予測です。
しかしこれは未来の話であり、実際に私たちに関係してくるのは現在の話です。
Viva ラーニング利用にむけての準備を整える
Microsoft Viva ラーニングを含む Microsoft Viva プラットフォームの一般提供が、2021 年 11 月から開始されました。このことを考えれば、今こそ Viva ラーニングの利用に向けて組織の準備を開始する良い機会ではないでしょうか。準備を整えるにあたって、以下の点を検討しましょう。
学習におけるニーズ
体験を収集するためのパイロット グループ
作成したい学習コンテンツの計画
利用開始にあたって支援とアドバイスを行ってくれる優秀なマイクロソフトのパートナー
IT 管理者、特に Microsoft Teams の管理者は、Microsoft Viva ラーニングの設定方法に精通し、展開や従業員へのアクセス管理およびアクセス制御の方法を十分に理解しておく必要があります。管理者や企業は、Viva ラーニングの利用開始にあたって私が担当している Sulava のようなマイクロソフトのパートナー企業からサポートを受けることも選択肢のひとつです。