木曜日, 3月 28, 2024
ホームサポートアイテムの ID を保持したまま SharePoint Online へ移行する方法について

アイテムの ID を保持したまま SharePoint Online へ移行する方法について

はじめまして、AvePoint Japan サポート チームの張です。

クラウドサービスが急成長している今、SharePoint Online に組織全体のコンテンツを移行される企業様が増えています。このような場合に効果を発揮するのが、DocAve の 移行モジュール です。

DocAve の移行モジュールは、例えば次のようなご要望に対応することができます。

・異なる環境に存在する SharePoint Online 間でコンテンツを移行したい
・作成者や更新日時などのメタデータや権限の設定を保持したまま移行したい
・ドメイン・ユーザー等をマッピングし、移行をフレキシブルに実行したい

このように便利にお使いいただける移行モジュールですが、SharePoint Onlineへ移行する際、SharePoint Online APIの制限によりアイテムの ID を保持できないという現象が発生することがあります。今回は、具体例を挙げながら、この問題の発生原因・回避策について説明させていただきます。

・「移行後のアイテム ID 変更」 の原因
この問題は、簡単にいうと 移行元のアイテム ID に 抜け番 がある場合 に発生します。
図 1 は、テスト コンテンツを含むリストです。左側の赤枠の ID 欄をご確認いただくと、ID が 2 のアイテムが削除されており、抜け番が発生していることがわかります。

A
図1 移行元のアイテム: ID 1・ID 3・ID 4

図 1 のリストを移行先に移行した結果が 図2 です。移行元で IDが であったアイテムは ID 2 となり、4 であったアイテムが 3 となって、URL で示されたアイテム ID との間にずれが生じていることが確認できます。

B
図2 移行先のアイテム: ID 1・ID 2・ID 3

どうしてこのような現象が発生するかについてですが、これは SharePoint Online API の制限に起因するものです。この問題について、以下にもう少し詳しく説明させていただきます。

SharePoint Online の仕様では、アイテム ID は1、2、3…の順番で自動的に生成され、移行されたアイテムに割り当てられます。このため、移行元アイテム ID に抜け番が存在している場合、移行先ではもともとの ID 番号を保持できず、抜け番以後のアイテムは自動的に生成されたアイテム ID の順序で作成されてしまいます。

移行元のアイテム: ID 1、ID 2、ID 3、ID 4

移行先のアイテム: ID 1、ID 2、ID 3   (1、2、3…の順番で自動的に生成されたID)

・ID 値の変更を防ぐには
アイテム ID の変更によって不都合が生じる場合には、以下の回避策をお試しください。

1) 移行先で新規リストを作成する
「編集」 ではなく 「新規」(アイテムの追加がまだされていない空のリスト) であることにご注意ください。
C
図 3: 移行先に空のリストを新規追加する

2) DocAveを使用し、移行元のアイテム ID 1 を移行する
移行する際に、フィルター ルール を利用すると、アイテム ID 1 のみを移行することが可能になります。具体的な設定は下の 図 4 でご確認ください。
D
図 4: アイテム ID 1 のみを移行するためのフィルター ルール (DocAve バージョン: 6.7.0)

従来の DocAve では、アイテムの ID のフィルター ルールとしての設定はテキストとしての認識のみに限られていましたが、DocAve 6.7.1 以降のバージョンでは、下図に示すように数値でアイテムのIDを認識することができるようになりました。

E
図 5: アイテム ID 1 のみを移行するためのフィルター ルール (DocAve バージョン: 6.7.1)

3) ステップ 1 で作成したリストに新規アイテムを 1 件追加する
移行先では、アイテムは以下の 図6 のように表示されます。
F
図 6: 移行先でアイテム ID 1、ID 2 が表示されているところ

4) DocAveを使用し、移行元のアイテム ID 3、ID 4を移行する
既定の論理関係は [AND] ですが、必ず [OR] に変更 してください。具体的な設定は下の 図 7 でご確認ください。

G
図 7: アイテム ID 3・4 を移行するためのフィルター ルール (DocAve バージョン: 6.7.0)

なお、既出のフィルター ルールと同様、DocAve 6.7.1 以降のバージョンでは数値でアイテム ID を認識することが可能になったため、フィルター ルールをより簡単に設定することが可能になりました。

H
図 8: アイテム ID 3、ID 4 移行用のフィルター ルール (DocAve 6.7.1)

移行の実行後、移行先環境でアイテムが下記のように表示されます。
I
図 9: 移行先のアイテム ID 1、ID 2、ID 3、ID 4

確認後、移行先でアイテム ID 2 を削除します。
J
図 10: 移行先のアイテム:ID 1、ID 3、ID 4

以上で、アイテム ID を移行前と同様に SharePoint Online でも保持する方法の説明は終了となります。抜け番が多い場合でも、同様の操作で旧環境の ID を持たせることが可能です。

なお、上記の方法は AvePoint の環境でテスト・検証済みですが、環境によっては実行不可能である可能性がありますことをご了承いただけますよう、お願いいたします。

上記の説明でも何度か使用した DocAve のフィルター ルールは、上手に活用することによりコンテンツ制御に威力を発揮します。ぜひご活用ください。

最後までお読みいただきましてありがとうございました!

Most Popular

Recent Comments