※この記事は、米国 AvePoint で 2021 年 2 月 24 日付で公開された記事 “4 Microsoft Viva Features That Could Change How We Experience Work” を日本語編訳したものです。
Microsoft は2021年2月、 リモートワークが進む時代の「Employee Experience Platform(従業員エクスペリエンス プラットフォーム、略称EXP)」として「Microsoft Viva」を発表しました。Viva は、コミュニケーション、知識や情報、学習、リソース、洞察を、統合された体験として組み合わせ、従業員やチームがどこにいても最善の結果を出せるよう支援するものです。 Microsoft Teams や他の Microsoft 365 アプリから利用できます。
Microsoft Teams のエクスペリエンスをカスタマイズすれば、Microsoft Viva のコア機能をシンプルに使えます。Viva はユーザーに合ったコンテンツやサービスを提供し、自宅などより多くの時間を過ごすようになった場所で仕事が行えるようにします。
ここ数ヶ月で、Teams ユーザーは急増しました (パンデミックによる 1 億人以上の新規ユーザーを含む)。Viva は Teams アプリとセットで使うよう設計されているため、Teams 上で広範囲な追加タスクを実行できます。
しかし、Viva で重視しているのは、Teamsの機能のようにグループ プロジェクトやコラボレーションのための共有スペースを提供するという点ではなく、各スタッフが最高のパフォーマンスを発揮できるように、カスタマイズされたエクスペリエンスを提供することです。
適切に導入されユーザーに浸透すれば、Viva はコラボレーションの方法を広く体系的に変える新たなソリューションとなるでしょう。しかし、導入が遅れたり、デジタル ツールの数が多すぎてスタッフが使いこなせなかったりする可能性もあります。
今後の展開の詳細はまだ明らかになっていませんが、コンセプトと可能性は要チェックです。現在わかっているポイントは次のとおりです。
Microsoft Viva では、何がどのように機能するか
Microsoft は、Viva を「従業員エクスペリエンス プラットフォーム」と表現しており、Viva は次の 4 つのモジュールで構成されています。
- Microsoft Viva Connections: 従業員エンゲージメント (イントラネット) と社内コミュニケーションのための入り口を提供する
- Microsoft Viva Learning: Microsoft や LinkedIn ラーニングから提供されたトレーニング コース・マイクロ ラーニング コンテンツのハブの役割を担う
- Microsoft Viva Topics: ウィキペディア 形式のデータベース上に、全社的なコンテンツや専門知識を格納する
- Microsoft Viva Insights: 生産性とウェルビーイングの向上を図るための、プライバシー保護された状態の従業員データを分析する
この概念は真新しいわけではありませんが、リモートワークの課題に対処することが可能です。たとえば、人事部から書類を取り寄せたり、同僚との何気ない会話の中で会社の知識を吸収したりすることは、リモート環境下では確かに難しくなっています。また、在宅時間が長くなると、ワークライフ バランスを保つことが難しい場合もあります。
こうした背景から、Viva がリモート環境下で新入社員を迎え入れオンボーディングする方法として注目されている理由がわかります。また、ベテラン社員も、このツールを使用することでつながりを維持できます。
今回の発表では、Viva の発売日 やライセンス費用の全体像は明らかにされませんでした。なお、発売日がモジュールごとに異なること、Viva Topics は法人ユーザー 1 人 あたり月額 5 ドルかかり、企業によっては高額な投資になる可能性があること、は判明しています。
それでは、Viva の各モジュールの詳細を見ていきましょう。
1.Viva Connections により、Microsoft Teams に社内イントラネットが加わる
Viva Connections により、組織のリーダーが SharePoint サイトを簡単に展開できるようになり、会社のニュースや人事フォーム、関連アプリや IT 支援のリクエストといった社内向けのランディング ページを構築できます。ダッシュボードは、Power Apps や SPFx、すでに使用しているサードパーティのソリューションを使用してカスタマイズできます。
このようにテンプレート化されたイントラネット機能は、ポータル エクスペリエンスを強化し、 従業員が重要な情報にリアルタイムでアクセスできるワンストップ ショップを提供します。
優れたイントラネットは従業員エクスペリエンスの中核部分であり、私たちの多くがオフィスの外で働き続ける時代には必要性が増します。Viva Connections の デスクトップ版は第 1 四半期にリリースされる予定で、モバイル版は夏のリリースを予定しています。

2.Viva Learning により、オンデマンド教育が可能に
Viva Learning を導入すれば、Microsoft Teams 上にトレーニングと従業員の専門知識の習得 加えられます。ユーザーは複数のサイトにアクセスしなくても、Viva Learning に行けば Microsoft Learn やLinkedIn Learning、学習管理システム (Learning Management Systems) やサードパーティ プロバイダーの資料といったオンライン学習コンテンツを取得できます。
ユーザーは自分の仕事や興味に関連するトレーニングを検索できます。また、マネージャーは Teams のタブから従業員に学習課題を割り当てることも可能です。学習管理システム (LMS) を使用していれば、リーダーはプログラム内でレポート作成や分析ができます。このレポートや分析の配信は Microsoft Teams により行われます。
Microsoft が職場でのオンライン学習に価値を見出している理由は、組織のミッションに貢献し長く働き続ける熱心な従業員の育成を重視しているためです。自宅でもオフィスでも、十分な知識と情報を得られるようにすることが重要です。
3.Viva Topics が情報へのクイック アクセスを提供
私たちは日々多くの情報を吸収し処理していますが、自分に必要なコンテンツを探り当てることは、貴重な時間とエネルギーを費やすものです。これが Viva Topics の背景にある考え方です。AI で組織のデータを論理的に理解することにより、Viva Topics は、コンテンツを自動的に識別・処理し、整理します。
そして、関連ドキュメントや専門家を厳選特集したトピック「カード」が用意され、「カード」を Teams チャットで共有できます。従業員は職場のハブである Teams を離れることなく、必要な知識を迅速に得ることができるのです。セキュリティとプライバシーの設定 により、機密資料は非公開になります。
Viva Topics の概念については、馴染みがあるように感じる方もいるかもしれません。これは基本的に、Microsoft が 2 年前から Project Cortex として位置付けているものです。Viva トピックは、昨年 Ignite で発表された Project Cortex からの最初のリリースである SharePoint Syntex と連携して機能します。

4.Viva Insightsにより、職場の動きに直に触れることができる
Viva Insights の機能は、混沌とした時代に落ち着きをもたらしたいという Microsoft の願いを表しています。会社は、マネージャーが積極的にスタッフのメンタル ヘルスを高め、社内の気風を評価し、必要に応じてそれを是正することを求めています。
Microsoft Workplace Analytics や Microsoft MyAnalytics の機能を活用する Viva Insightsは、従業員が Outlook や Teams にどれほど滞在しているか、どのくらいの頻度で勤務時間外にオンラインになっているかを測定できます (個人を特定できない形のデータ)。この機能は、マネージャーがユーザー個人を監視できるとして昨年批判を呼び現在は変更されている Microsoft 365 の機能「Productivity Score」 を連想させる方もいるかもしれません。
Viva Insights のもう一つの機能はセルフ ケアで、機能は順次展開される予定です。ユーザーは、終業時にチェック リストや自分自身を振り返るエクササイズ、マインドフルネス アプリ 「Headspace」 へアクセスでき、「バーチャル通勤」 を始めることができると言われています。
Microsoft Viva の展望
Microsoft Viva のさまざまな機能は注目していくべきでしょう。今後数か月以内にハイブリッド ワークプレイス モデルに移行すると表明している企業が増えているからです。
Microsoft にとっての短期的な課題は、Viva にはそのコストに見合うだけの価値があると企業に納得させること、ソリューションを実装してユーザーをトレーニングすること、サービス (およびその収集データ) が生産性やメンタルヘルス向上にどの程度貢献するか測定することが挙げられます。
ここでも、Microsoft Teams は従来型のコラボレーションに一石を投じています。Teams は、単なる同僚との共有作業のハブになるだけではありません。私たち個人の成長、情報、健康のためのハブになりたいと考えています。
Microsoft が提唱するこのアプローチが、現在広く使用されている専用の従業員エクスペリエンス ポータルに取って代わるかどうかは、まだ現時点では分かりませんが、Teams が過去数年間に達成してきたことを考えると、期待できるのではないでしょうか?