金曜日, 4月 19, 2024
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クラウド オンリー環境への移行で陥りがちな 5 つの落とし穴

大規模で高コストなデータセンターのリース料を負担しない経営判断を下した瞬間から、企業はクラウドと最新環境への移行の計画を開始します。しかし、データセンターの利用を終えるプロセスにおいても課題が存在します。多くの企業で、クラウド導入に特化した外部のサービス プロバイダーによる支援が必要となるでしょう。 

外部のサービス プロバイダーを利用するにせよ、移行業務を完遂できるリソースが社内にあると判断するにせよ、移行を成功させ、新たなクラウド オンリー環境におけるサポートの準備を完了するためには、あらかじめいくつかの事項を検討しておく必要があります。 

この記事では、クラウド オンリー環境への移行とサポートに悪影響を及ぼすおそれのある、多くの企業で陥りがちな以下の 5 つの落とし穴について解説します。 

  1. 技術面とビジネス面で推進要素にずれがある 
  2. 計画不足および現在の環境の評価不足 
  3. クラウド プラットフォームや SaaS サービスを活用できていない 
  4. サポート担当者のスキルセット 
  5. ユーザーの導入およびチェンジ マネジメント 

それでは、ここからは上記の項目と、データ センターの利用終了に伴う課題を解決する方法について考察していきます。 

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移行の落とし穴1.技術面とビジネス面で推進要素にずれがある 

これは、計画においても遂行においても障害になりかねない重大な問題です。クラウド サービスへの移行を検討・調査すると、多くのクラウド プロバイダーがビジネス面での推進要素として第一に「コストの削減」を挙げていることに気づくでしょう。しかし、もしビジネスの関係者がクラウドへの移行理由としてコストの削減を挙げている場合は、一旦立ち止まる必要があります。クラウドへの移行が有利な理由として、多くの場合、不動産コストやソフト コストの削減、クラウド プロバイダーへの移行に伴う運用コストと設備投資コストの比較結果などが挙げられます。コストを削減するという目的でパブリック クラウド プロバイダーへの移行プロジェクトを任された技術者は、移行後の指標と認識について留意する必要があります。 

技術的な関係者とビジネス面での関係者が集まり、企業全体としての目標について話し合い、パブリック クラウドへの移行が本当に目標実現の加速につながるのか議論することが大切です。例えば、現在ビジネスを展開している地域を超えて顧客基盤を拡大するという目標がある場合、自社のデータ センターで機能を構築するよりも、AWS や Azure、Google などのパブリック クラウド プロバイダーを利用したほうが迅速に目標を達成できます。計画段階ですり合わせを行っておけば、推進要素のずれという落とし穴を避けることができるでしょう。 

移行の落とし穴2.計画不足および現在の環境の評価不足 

今回の記事でご紹介する落とし穴の多くでは、「計画性の欠如」が共通の原因となっています。そして、それに次ぐ原因が「現在の環境を正確に把握できていない」ことです。オンプレミスのデータ センターのインフラは、何年、ときには何十年も前の古いハードウェアや OS、データベースで使われてきたアプリケーションを搭載しています。アップグレードによるダウンタイムや余計なコストがかからないように、移行を実際に開始する前に、現在の環境を適切に評価・理解し、それによってクラウド環境のタイミングやアーキテクチャがどのような影響を受けるかを把握しておく必要があります。また、現在の環境を理解し、新たなクラウド環境に向けた最適化の方法を模索する上で、次の落とし穴に注意することが大切です。 

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移行の落とし穴3.クラウド プラットフォームや SaaS サービスを活用できていない 

技術面でもビジネス面でも、パブリック クラウド プロバイダーへの移行には数多くの推進要因があります。地理的なスケーリングおよび拡大能力もそのひとつです。他にも、既存のアプリケーションやデータ ベース、プラットフォーム サービス (PaaS)、SaaS ベースのソフトウェア ソリューションへのワークロードのリファクタリング能力などが挙げられます。現在、オンプレミス型データベースのアプリケーションやデータベースは Windows や Linux の OS 上に構築されています。管理する上で、これらの OS がサポート対象のバージョンでメンテナンスされており、潜在的な脆弱性を回避するためのアップデートやセキュリティ パッチがすべて適用されていることを確認する必要があります。 

現在、様々なパブリック クラウド プロバイダーが Web アプリやデータ ベース用のプラットフォーム サービスを構築しています。これにより OS のパッチやアップデートについて心配せずとも、アプリケーション コードの開発や保守が可能になります。クラウド プロバイダーによって安定した最新の OS バージョンが維持されるため、インフラが最新の状態に保たれます。Office 365 や SharePoint Online、Google Suite などの SaaS ソリューションを活用すれば、こういったビジネス アプリケーション用のサーバーの保守も不要になります。また、ユーザー環境の拡大や縮小に合わせられる柔軟な従量課金制のサービスも利用できます。 

しかし、PaaS や SaaS の機能を活用できておらず、アプリケーションやデータベースを単純に移すだけの、いわゆる「リフト&シフト」での移行に終始する企業は少なくありません。このよくある落とし穴に陥らないように、環境について計画と評価を行った上で、どのようにアプリケーションやデータベースのリファクタリングやリプラットフォームを実施すれば有効かを判断することが大切です。 

移行の落とし穴4.サポート担当者のスキルセット 

これまで解説してきた 3 つの落とし穴は、新たなクラウド環境への移行計画やインフラに関するものでした。一方、次の 2 つの落とし穴は担当者や人材関連の課題になります。まず、4 つ目の落とし穴は、パブリック クラウド環境のサポート業務を実際に行ったときに、担当者が有するスキルセットとサポート業務で求められるスキルにギャップがあることが判明するケースです。適切に移行を進め、前述の 3 つの落とし穴を避けられた場合 (とりわけ PaaS や SaaS ソリューションを活用した場合)、新しいクラウド環境の管理は、オンプレミスのデータ センター環境の管理とは大きく異なったものになるでしょう。移行に伴い、物理的なネットワークやホスト サーバーがインフラとして重要な役割を担うことはなくなります。また、新たなクラウド インフラにおける第一の防衛線として、ロール、ポリシー、権限を通じたアイデンティティとアクセスの管理が大切になります。 

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しかし、従来のネットワークやサーバーの管理者が、こういった新たなサポートに適したスキルを持っていない可能性があります。この落とし穴を避けるには、現在の環境からクラウド環境への移行の実施前に、サポート担当者が必要なスキルのトレーニングと認証を受けておく必要があります。  スキル面でこのようなギャップがある場合は、サード パーティのサービス プロバイダーを活用して埋めることも可能です。 

移行の落とし穴5.ユーザーの導入およびチェンジ マネジメント 

最後のよくある落とし穴は、変化に向けたスタッフの準備に関する課題です。ユーザーの混乱を避け、スムーズなクラウド利活用を実現するためには、現在の環境で何が行われているか、そして新たなクラウド環境をどのようなものにするかを適切に計画し、伝えていくことが大切です。新たなクラウド環境への移行に伴い既存のオンプレミス環境を直ちに廃止する場合、ユーザーとしては新たなクラウド環境を利用する以外の選択肢はなくなります。しかし、クラウド環境がどのようなものになるか、事前に十分に伝わっていなければ、サポートデスクにはユーザーからの問い合わせが殺到することになるでしょう。  ユーザーにとっての導入体験が悪いものになってしまえば、企業における移行の成否にも悪影響を及ぼし、IT 担当者にネガティブなフィードバックのしわ寄せが行くことになります。 

まとめ 

この記事でご紹介した落とし穴を避けるには、適切な計画と準備が肝要です。新たな環境について計画を立て、あらゆるレベルの関係者とオープンに話し合い、ビジネスの目標およびクラウドの利点にマッチした環境を構築すれば、移行を成功に導けるでしょう。皆様が優れたクラウド ネイティブな環境を構築されるよう願っています。 

 

※この記事は、米国 AvePoint で 2022 年 7 月 11 日付で公開された記事 “5 Common Pitfalls of Migrating to a Cloud-Only Environment” の内容を日本語訳したものです。

クラウド移行についてもっと詳しく知りたい方は、AvePoint ブログに是非ご登録ください

 

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