ファイル サーバーからクラウドへの移行
クラウド テクノロジーへの新時代に向けて、多くの組織 が既存の ファイル サーバーからクラウドへの移行 、標準的なエンタープライズ コラボレーション プラットフォームへの移行を検討しています。
IT 部門担当者の大多数は、クラウドへの移行は不可避であるということは理解していますが、内部プロセスやコラボレーション、さらには業務習慣さえもファイル システムに依存している現状を考えると、移行に伴う膨大な作業量に実行を躊躇しています。
しかしながら、エンタープライズ コンテンツ管理 (ECM) システムには、バージョン管理、セキュリティの強化、そしてコンプライアンス準拠の徹底が可能となるなど、多くのメリットがあります。
さらに、Microsoft 365 などのクラウド コラボレーション プラットフォームは、エンド ユーザーがドキュメントにアクセス・共有するための、より使い勝手の良いアクセス方法を提供してくれます。
ここ最近の在宅勤務のニーズにより、今まで長い間延期されていたファイル サーバー移行プロジェクトが、にわかに 「今すぐ取り組むべき問題」 として注目を浴びる事態となっています。
「いま」「何を」 すべきか?
クラウドへの移行と、標準的なオンプレミス ECM システムへの移行には、共通した課題が存在します。ここでは、ファイル サーバーの移行時に発生しがちな課題を解決するための、3 種類のベスト プラクティスをご紹介します。
「ROT」 のクリーン アップ
「ROT」 データという用語には様々な頭文字のバリエーションが存在しますが、その意味するところは同じです。ROT データとは、「削除しても問題のないデータが占有しているスペースを解放し、効率化を図るために、ソース システムから削除すべきデータ 」を意味します。
ROT データを整理することで、移行プロジェクトそのものに必要となる工数を軽減するだけでなく、移行先環境での検索効率を向上させることもできます。
「ROT」 の頭字語がそれぞれ何を意味するのかを見てみましょう。
- Redundant (冗長) – クリーンアップ プロセスで恐らく、最も難しい部分です。というのも、ファイル サーバーではバージョン管理が難しいため、コンテンツのコピーや自作バージョンが何種類も出回ってしまいます。このようなコンテンツの場所を特定し、保持するコンテンツと削除するコンテンツを区別しておくことで、ファイルを新しいリポジトリに移動した後、コンテンツの競合を低減することができます。こうしたコンテンツを特定・報告し、移行前プロセスの実行を支援するソリューションを提供しているサード パーティーも存在します。
- Outdated (陳腐) – エンド ユーザーの中には、特別な強制力がない限り、不要なデータであってもしまい込み、決して削除しようとしない人が一定数存在します。また、異動や退社後、そのエンド ユーザーが所有していたファイルが必ずしも検知・削除されるわけではありません。このため、大量に作成されたコンテンツが、組織の記録保持ポリシーに違反しない限り、陳腐化しても消去されないまま残ることになります。
以下はその解決策です。- 記録保持ガイドラインを確認し、ファイルに (例えば 7 年といった) 一定の保持期間が必要であるかどうかを 決定 する
- 設定した期間を超過したコンテンツは削除する方針を 策定 する
- 変更管理コミュニケーション戦略の一環として、この決定をユーザーに 通知 し、ユーザー側で自発的に行動できるようにする (これにより、価値のあるコンテンツ のみ が移行されるだけでなく、内部ポリシーへの準拠を徹底することができます)
- Trivial (無駄) – 陳腐化したコンテンツは簡単に識別できますが、そのコンテンツが無駄であるかどうかはユーザーの判断に委ねられます。このようなデータの削減には、エンド ユーザーへの通知とコミュニケーションが不可欠です。この際、特定のファイルを削除する必要があるかどうかは、エンド ユーザー自身で判断できるようにする必要があります。このプロセスは、全体的な移行の負担を軽減することにも繋がります。
データが移行する先について理解する
移行を適切に計画するためには、ROT コンテンツのクリーン アップ以外にも、コンテンツが移行する先の環境について理解することが重要です。
このプロセスは、「企業情報アーキテクチャ プランニング」 と呼ばれたりします。字面こそ物々しいように思えますが、それほど身構える必要はありません。
例えば、Microsoft 365 の場合であれば 「すべての 個人ファイル共有コンテンツは、個人の OneDrive for Business に移行される」 といったような形の平易な表現で全く問題ありません。
このような原則を確立することで、より見つけやすい場所にコンテンツを保存することができます。
移行を段階的に実行する
包括的な移行プロセスを計画することは、移行を実行する担当者にとって、影響を受けるエンドユーザーと同程度に重要です。移行を段階的に実行することには、次のような利点があります。
- タイムラインが明確となるため、エンド ユーザーは移行時期と、新しいシステムの使用を開始する時期を把握できる
- 移行担当者はセグメント別に作業ができるため、問題を切り分け、適切な検証を実行することができる
- クラウドに移行する場合、移行を段階的に行うことで、大量のデータを移動する際に発生しがちなスロットリングを最小限に抑えることができる
包括的な移行計画には、ROT の整理、企業情報アーキテクチャの構築、段階的な移行作業が不可欠です。この計画は、個人 / 部門の各バッチ移行タイムラインから、周知スケジュールまですべての側面を考慮して作成します。さらに、包括的な移行を計画することで、移行前の準備に費やす時間と移行期間を最適化することができます。
【おわりに】
ファイル サーバー→クラウド移行ベストプラクティス のご紹介はいかがでしたでしょうか? AvePoint では、2001 年の創業以来、全世界の企業・組織に対し、SharePoint 最新版・Microsoft 365 (旧 Office 365) への移行プロジェクト支援を行ってまいりました。
最近では日本航空株式会社様に AvePoint の移行ツール DocAve 移行 をご利用いただき、全国拠点のファイル サーバーに分散していた 40TB のデータを SharePoint Online へ 10 ヶ月で移行するお手伝いをしております。
ファイル サーバーをはじめ、Notes や LiveLink 等の各種レガシー環境、さらには SharePoint 旧バージョン等の様々な移行元環境にも対応しております。
Microsoft クラウドへの移行でお悩みの際には、こちらのフォーム から是非お声がけください。お問い合わせの際は、「ファイルサーバー移行のブログ記事を読んで」 とお書き添えいただくと、ご対応がスムーズです!
※この記事は、米国 AvePoint で 2020 年 5 月 13 日付で公開された記事 “3 Best Practices When Migrating File Shares in Office 365” を日本語編訳したものです。
【関連記事】
「AvePoint の Office 365 移行ソリューション関連資料」
「 ファイル サーバーからクラウドへの移行 、よくある 「落とし穴」 4 選と対策法: 「データ断捨離失敗= クラウド頓挫」 の解決は AvePoint Cloud Index で」