土曜日, 4月 20, 2024
ホーム運用管理Microsoft 365 の管理で陥りがちなミス

Microsoft 365 の管理で陥りがちなミス

Microsoft 365 の管理は多方面にわたります。そしてそのタスクはあまりにも複雑に絡み合っていて、驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、アプローチを調整し、ガバナンス戦略を最適化するのに遅すぎるということはありません。 

今週の #O365 Hours では、Office Apps & Services の Microsoft MVP を受賞したリチャード・ハーブリッジ 氏を招き、組織が陥りやすい落とし穴や、Microsoft 365 のガバナンス全般における包括的な課題について意見を交換しました。ぜひこの記事で内容をご確認ください。インタビューの全文をお読みいただくことも可能です。 

ゲスト:リチャード・ハーブリッジ氏 2toLead 社 CTO (2toLead 社のウェブサイトはこちら) 

トピック: 

  • Microsoft 365 の管理でよくあるミスのうち、最も多いものは何でしょうか。 
  • 管理上の課題について語るとき、よくテクノロジー、プロセス、人材といった面が注目されます。技術者である我々は、まずテクノロジーに注目しがちです。管理上の失敗について考えるとき、何を優先して取り組むべきでしょうか。 
  • ガバナンスの話をすると、うんざりする方も少なくありません。組織は、ガバナンスについて十分に熟考しているのでしょうか。 
  • ガバナンスについて、もっと別の視点で捉えていくことはできるでしょうか。 

Microsoft 365 の管理でよくあるミスのうち、最も多いものは何でしょうか。 

ハーブリッジ:絞り込むのは難しいですね。しかし、強いて言えば「多額の所有コストにもかかわらず、ビジネス部門が適切な形で活用できていない」ことでしょうか。Microsoft 365 は、結局のところデジタル体験のプラットフォームであり、ビジネス部門を強力にサポートする様々な機能が多数搭載されています。継続的な維持とビジネス部門のサポートが必要です。もうひとつのミスは、リーダーシップやギャップ等を IT 部門が担当し、ビジネス部門が関与していない状態です。こうなると IT 部門の所有コストは過剰になり、ビジネス部門によるテクノロジー プラットフォームの運用方法に関わらず、IT 部門があらゆるものを適切に管理しなくてはならなくなります。ですから、管理における最大のギャップは、IT 部門とビジネス部門の関係性なのです。ビジネス部門がいかに IT を支援し、スケーラブルでいられるかが重要になります。ありふれた話にも聞こえますが、実際のところほとんどのお客様にとってはこれが最大の課題です。 

バックリー:とりわけ組織の規模が大きいと困難ですよね。小さな組織であるうちはリーダーシップ チームの一員として積極的に発言する人が多くても、組織の規模が大きくなるにつれてそのような話し合いは難しくなっていきます。だからこそ、早い段階から緊密に連携し続けること、話し合いを行っていくこと、そして企業が成長してもその状態を維持し続けることが大切なのかもしれません。 

ハーブリッジ:そうですね。組織の大小を問わず、現実として管理は分散しています。現代における管理というと確かに非常に技術的で、IT 中心に話が進むこともあるのですが、実際のところ、テクノロジーを本来の形で使えば、オーナーシップの多くの部分はビジネス部門に分散できるはずです。 

ですから、ベースラインとなるデューデリジェンスは必要かもしれませんが、引き継ぎを行い、少なくとも一部の管理レベルの機能をビジネス部門が実行し、それを IT がサポートするという選択肢も考慮すべきです。組織のリーダーの中には、自分たちにも IT 部門と同様にデジタル エクセレンスの責務があることを十分に理解できていない方もいるように見受けられます。問題の多くは、そこに起因しているのではないでしょうか。 

バックリー:そういった側面は間違いなくあるでしょうね。 

ハーブリッジ:他にも、ビジネス部門のリーダーが突然、IT 部門の推奨していないテクノロジーの使用を決めてしまうというケースもあります。そうして Microsoft 365 と比べてセキュリティが甘く、たくさんの課題を抱えている Dropbox や Box を使い始めてしまうわけです。しかし、IT 部門はそれをサポートせざるを得ません。承認されていないファイル共有ツールですから、サポートにもコストがかかります。 

こういった問題が起きたときに、IT 部門からビジネス部門に対して「あなたはこのような選択をしていて、コストにこういった影響があります。ライセンスや運営管理などのコスト効率を上げるには、こうした方が良いです」と主張できるようになる必要があります。そういった風通しの良さがなければ、経営陣がビジネスを長期的に持続可能なものに転換していくことはできません。 

管理上の失敗について考えるとき、何を優先して取り組むべきでしょうか。 

ハーブリッジ:私たちが現在抱えている課題をいくつかまとめてみましょう。課題のひとつとして挙げられるのが、どのコンテンツや業務で、プロセスやポリシーについてあらかじめ私たちのサポートが必要なのかが、ユーザーにとってわかりにくいという点です。これに対して長年にわたって行ってきた解決策で、現在でも有効なのは、ユーザーがコンテンツを部門別の人事プロジェクト サイトに置くことです。それにより、項目ごとに適切なラベルとプロパティが適用されるようになります。このラベルとプロパティを活用すれば、検索や保護、コンプライアンス、データ保持などを改善できます。できることはたくさんあるのですが、大半のお客様は十分な自動化ができていないのが現状です。 

これに対し「コンテンツの置き場所を間違えたらどうするのか」という疑問もあります。しかし、そうしたミスが起きるとき、背景にはほぼ必ずと言って良いほど、プロセス上の明確な原因があります。例えば、トレーニングや教育上の原因です。つまりユーザーがコンテンツを特定の場所に置けば適切に共有されることを知らなかったために、他の手段で共有しようとするわけです。結局のところ、大切になるのは問題の原因がどこにあるのかをより適切に追跡し、把握できるように改善していくことです。 

新たなテクノロジーをユーザーが直感的に理解できるように紹介することを目標にすべきです。例えば適切な外部共有ソリューションがどれだけシームレスなものか、以前の共有方法がどれだけ苦痛を伴うものだったか実感としてわかるように伝えることが大切です。確かにテクノロジーによって物事がうまくいかなくなる場合もありますが、大半の問題はプロセスに起因しています。 

組織は、ガバナンスについて十分に熟考しているのでしょうか。  

バックリー:ガバナンスは、当然ながら一度限りのものではありません。ガバナンスは、テクノロジーがどう変化し、ビジネスニーズがどのように変化しているか、さまざまな関係者との継続的な協調が必要な作業です。シャドー IT についても話さなければいけません。シャドー IT を話題にしなければ、ユーザーは組織で承認されていないサードパーティのソリューションを躊躇せず使うでしょう。先ほどもお話があったように、ユーザーを教育し、公式のソリューションで何ができるかを周知していくことが大切です。 

逆に、導入されたポリシーの制限が厳しすぎてユーザーが必要なタスクを遂行できない場合もあります。最もよく見かけるのは、社外とのコラボレーションができないというケースです。 

ハーブリッジ:おっしゃる通りです。正直なところ、そういったケースは、エコシステムにある外部共有の管理支援ツールについて、ユーザーが認知していないために起きている場合が少なくありません。私はすぐに利用できるサービスが好きですが、Microsoft のネイティブ ソリューションにはサードパーティーが補完できる部分 (共有チャネルなど) がたくさんあります。  だからこそ、こういった問題は克服可能だと知っておけば、ユーザーも実行できると考えるようになるでしょう。 

ガバナンスについて、もっと別の視点で捉えていくことはできるでしょうか。  

ハーブリッジ:Microsoft 365 のサービスには、デジタルな従業員体験を軸として、さまざまなワークロードやニーズ、スペースが包有されています。そうして総合的に考えれば、関連するポリシーやそれを扱う人たちが年々進化しているのも理にかなっていると言えるでしょう。ですから、ガバナンスについても、基本的には組織の効果を高め、支える他のあらゆるソリューションと同じように捉えていくことが重要です。 

成功のために全員が意識しなければならない基本的なルールもあれば、特定分野だけに必要な専門知識もあります。従業員は「何が分からないかが分からない」わけです。逆に、だからこそ、基盤となる中核的要素の周知に投資するほどに、それをベースとして優れたガバナンスを構築しやすくなっていくでしょう。 

※この記事は、米国 AvePoint で 2022 年 5 月 27 日付で公開された記事 “Common Mistakes Made in Managing Microsoft 365” の内容を日本語訳したものです。

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