フロリダ州オーランドで開催の 2018 年度 Microsoft Ignite に参加している AvePoint メンバーたちの声をもとに、Microsoft CEO のサティア・ナデラ氏が登壇して行われるキーノートの模様をお伝えいたします。
【Microsoft Ignite 2018、いよいよ開幕】
いよいよ幕を開けた 2018 年度の Microsoft Ignite。もちろん AvePoint のメンバーたちも、知見を深め、お客様やパートナーの皆様との出会いを楽しみにしつつ、世界中から集まってきました。
こちらはブースでプレゼント企画を展開する Ducati の前で記念撮影をするメンバーたちです。
Microsoft のこれからの指針が大々的に打ち出される場とあって、AvePoint マーケティング最高責任者 (CMO) の Dux Raymond Sy (@meetdux) をはじめとする、ソーシャル メディア上で活発に活動しているメンバーは、会場からの実況中継の準備に余念がありません。
こちらはキーノート開始直前の会場の模様です。ご覧の通り満員、立ち見まで出た模様です。
ストリーミングは、Microsoft のコーポレート ヴァイス プレジデントである Julia White 氏からの歓迎の挨拶で幕を開けました。
White 氏は、変化のスピードが加速する一方の現状、「変化だけが共通項」 という状況の中、変化を受け止めることに苦闘している企業・組織も少なくないことを認識しつつ、参加者には 「なんでも学んでやる」 という姿勢で積極的に Microsoft のメンバーに質問をし、参加者と交流をし、多くを持ち帰ってほしいと語りました。
また White 氏は、今回の Microsoft Ignite のもうひとつの重要テーマとして 「多様性」 を取り上げました。技術とメンタル ヘルスの関係を模索するワークショップや、「保護者と技術」「女性と技術」 などのテーマのコミュニティ トーク等が開催され、それぞれの組織でどのように多様性を活かすかを考える端緒としてほしいとのメッセージを発信しました。
【#MSIgnite18 のテーマは “tech intensity”】
いよいよナデラ氏の登壇です。
#AI for humanitarian action, using technology to promote and protect human rights. Awesome announcement to close out the #MSIgnite keynote @satyanadella @MS_Ignite pic.twitter.com/LIYKEMt8RD
— AvePoint (@AvePoint) 2018年9月24日
満席の会場からの拍手に迎えられて登壇したナデラ氏は、「インテリジェント クラウドとインテリジェント エッジ」 という 2 つの切り口から、あらゆる産業、生活の全領域にコンピューティングが存在しているという現状からキーノートを開始しました。
ナデラ氏は、IT 技術がなければ業務をこなすことができなくなるまでに IT が全業種に浸透しており、そのような状況下でデジタル トランスフォーメーションが起こっている現状について語りました。そのような状況下で、企業が自社業務のために最新・最良のテクノロジーを包摂すると同時に、テクノロジーの作り手となるという概念 “Tech Intensity” (テック インテンシティ) というキーワードを紹介しました。
この概念を掘り下げるため、ナデラ氏は 1882 年にトーマス・エジソンが中央発電所をニューヨークとロンドンに開設してからの車づくり、そのような状況をもたらした技術の流れについての逸話を展開しました。
中央発電所の登場時には、工場の動力源としては蒸気が主流でしたが、中央発電所の創設により、その状況は短期間で大きく変わることになります。
そのようなパラダイム シフトの渦中にあって、蒸気を利用していた工場の経営陣は、「電気をどのように取り入れるか」「これまでの投資をどうするか」 など、デジタル トランスフォーメーションに直面した 2018 年の経営者と同様の問題に頭を悩ませていた、と同氏は説明します。
ナデラ氏はさらに、1910 年に量産が開始された T 型フォードについても触れます。1910 年には、デトロイト郊外に位置するハイランドパーク工場がオープンしますが、この工場は電気の力を最大限に活用すべく、上記時代の工場とは異なる設計がされていました。
しかし、変化したのは工場のフロア構成ばかりではなく、そこで作られる製品としての 「車」 にも大きな変化が起こった、とナデラ氏は説明します。
このように、変化を受け入れ、自社の製品や運営管理を捉えなおすことができたからこそ、フォードは時代の変化を乗り切り、変化を包摂できずに消えていった会社も数多くある中で、現在も躍進を続けることができている、とナデラ氏は語ります。
【現場職員にもオフィス ワーカーにも、最新・最適のソリューションを】
「顧客がエンタープライズ級の大企業であれ、中小企業であれ、公共組織であれ、変化を起こすために必要なテクノロジーを届けることが Microsoft の使命である」 と語るナデラ氏は、Royal Dutch Shell や H&M、BMW、イーライリリーなどの顧客の導入事例を紹介しながら、「自社のブランディングのもとで、利用可能な技術をどのように活用するか」 を考えてほしいと語りました。
特に、これまでのフォーカスであったホワイト カラー・ナレッジワーカー中心のソリューションに加え、最近本格的な提供が開始された、ファーストライン ソリューション についての解説が異彩を放っていました。
ホロレンズを取り入れたトレーニングを行っている GF の取り組みについて紹介したナデラ氏は、「ナレッジ ワーカーでもファーストライン ワーカーでも、最新の技術を仕事に活用できる状況を作る」 ことを可能にする」 と語りました。
導入事例として紹介された Microsoft のサービスは Azure IoT から Azure Blockchain Workbench、Cortana から Microsoft 365 まで幅広く、Microsoft の技術の裾野の拡がり方を聴衆に印象付けるものとなっていました。
【SAP + Adobe + Microsoft のトリオが展開する、オープン データ イニシアティブ】
次に、SAP の CEO である Bill McDermott 氏と Adobe Systems の CEO である Shantanu Narayen 氏がナデラ氏に並んで登壇し、オープンデータ イニシアティブ (Open Data Initiative) の発足を発表しました。
ナデラ氏は、多くの企業が日々数多くの顧客データを得ている一方で、それらのデータが内部・外部でサイロ化してしまっている現状を指摘し、これらのデータを統合して見える化しつつ、ガバナンスの効いた環境を整えてデータを整備するものとして、このイニシアティブを捉えていると語りました。
このイニシアティブの中核をなす 3 本の柱は以下のように説明されました。
•カスタマー オーナーシップとコントロール
•AI が原動力となるビジネス成果
•すべてをオープンかつ拡張可能に
【信頼性とセキュリティ】
ナデラ氏は、デジタル トランスフォーメーションを推進する中で生じる軋轢に対処するため、Microsoft は信頼性とセキュリティを特に重視していると語りました。
オペレーション: Microsoft のプラットフォームに位置する顧客データの保護
テクノロジー: 最新のテクノロジーに基づくサービスを展開し、顧客データを脅威から保護
パートナーシップ: バイラテラル合意やサイバーセキュリティ合意 (Cybersecurity Tech Accord) などを通じて、顧客に対する包括的な保護を展開
【人道的アクションのための AI】
キーノートの終幕を飾ったのは、ナデラ氏による 「人道的アクションのための AI」 イニシアティブの発足でした。
「AI for earth」 として環境問題を対象に実施されてきたイニシアティブ、「AI for Accessibility」 として障がいを持つユーザーのサポートに充てられてきたに続き、5 年計画で実施されるこのアクションは、自然災害および人災、抑圧、その他の緊急事態に対する救援を目的として AI を活用することを主眼としています。
今回発表された 「人道的アクションのための AI」 は、「災害救援」「子どもの支援」「難民・国内避難民支援」「人権」 の 4 つの柱から成り、飢饉や災害の発生予測などに活用されることになる、とナデラ氏は語りました。
【おわりに】
Microsoft 365 などの各製品・サービスではなく、「Microsoft ソリューションを使って何ができるか、どのような可能性が開けるか」 を主眼に展開された観のある、Microsoft Ignite 2018 キーノートのまとめはいかがでしたでしょうか?
Microsoft Teams と Skype for Business の統合のロードマップや SharePoint 2019 の新機能発表など、今後数日で重要な発表が多数あるものと予測されます。こちらのブログでもまとめを展開していく予定ですので、どうぞお楽しみに!